2015年5月24日日曜日

④ソーシャルスタートアップならではの特徴と可能性

ソーシャルスタートアップの特徴は、
なによりも、彼らが、利益の最大化よりも、インパクトの最大化を
優先していることから生まれます。

ある社会課題が解決されるということに情熱的にフォーカスするからこそ、
徹底的に課題の当事者(顧客)の立場にたって
ソリューションを開発することができます。

加えて、営利目的であれば、利益相反がおこってしまう
他のプレイヤーとの関係も、ソーシャルスタートアップにとっては
互いの役割を分担することで、如何にインパクトを最大化するか?
を調整することで、ライバルとしてではなく、
ビジョン実現の仲間として巻き込むことができるのです。


私自身は、
このようなソーシャルスタートアップの特徴により、
従来であれば、パートナーシップを組むことが
考えられなかった同業種のライバル企業や、セクターを超えたプレイヤー感の
連携を生み出す可能性があると考えています。

ちなみに
ここでいうセクターを超えたプレイヤーの連携により
社会的インパクトが乗数的に拡大していくような状態を
コレクティブインパクトと呼んでいます。

詳しくは➔http://yokohama.etic.or.jp/archives/1968
『新しい課題解決手法「collective impact」の可能性と中間支援組織に期待される役割』
@ETIC.横浜

を御覧ください。

私たちのこれまでの資本主義的、左脳的な世界観からみれば
「いやいや、そんなこと簡単にいくわけないじゃない」
という感も否めないことはわかります。

私自身もかつてはそうでした。

しかし、一方で私達は
誰かの社会の一隅を照らす、利他的な行為が
ときに経済合理性や損得勘定を超えた、
社会資本の巻きこみにより実現していくことを体験してきていると思います。

なにより、そのような
「経済合理性」を顧みない、ときに無謀で、異端な人々の行為の中から、
世界を変えるような革新的な事業やサービスが生み出されていることを
私達は知っています。


つまり、一見ビジネスとして当たりそうもない、
ソーシャルスタートアップだからこそ、逆にいえば、
イノベーションの担い手となる可能性は高いのではないか、
と考えているのです。


以上







2015年5月1日金曜日

③そもそも、ソーシャルスタートアップって何?

『ソーシャルスタートアップ』

この言葉は、孫泰蔵さん、ETIC.宮城さん、加勢さん他との
度重なるブレストの中で徐々に紡ぎだされたものだった記憶しています。

まずお伝えしておきたいのは、
私達SUSANOOプロジェクトでは、特にこのスタートアップという言葉を
単に、立ち上げ期、創業期という意味では使っていないということです。

私達は、革新を生み出す挑戦をしている組織や集団こそが
『スタートアップ』だと考えています。

そのため、常に革新を生み出しているグーグルや、アップルのような
組織もスタートアップに加えて考えるのです。

逆に、ただ単に既存のビジネスを踏襲し、創業する組織や集団は
私達の使う『スタートアップ』という言葉には当てはまりません。

2013年の秋から冬にかけて、
このような議論を重ねていきながらも、
なかなかこれといった『ソーシャルスタートアップ』の定義には
たどり付いていませんでした。

しかし、2014年の3月3日
SUSANOOキックオフイベントにて、
孫さんが、この問題に1つの解を授けてくれました。

それが、
『ソーシャルスタートアップとは、今までにないイノベーションを通じて
人々の生活と世の中を変える取り組みや組織。
特に「市場の失敗」分野に果敢に取り組む人々。』

というものでした。
さらに、説明として、

『・・・こうしたスタートアップのうち、
 特に「市場の失敗」に取り組むものを ”ソーシャル・スタートアップ”と呼んでいます。
経済学でいう市場の失敗とは、例えばホームレスの支援や環境保護のように、
サービスの対価がもらえないために、ビジネスになりづらい分野のことを指します。
こうした領域はこれまで行政やNGOが担ってきたのですが、公平性が重要な行政では効率が悪かったり、伝統的な手法では解決できなかったりすることがあります。
そういった領域において、イノベーションを通じて人々の生活と世の中を変えていく起業家が“ソーシャル・スタートアップ”です。』
(ETIC.DRIVEより抜粋➔http://www.etic.or.jp/drive/labo/2495)

が加えられました。

これほど、『ソーシャルスタートアップ』の意味を
的確に表現した説明文は他にありませんので、
これを定義として活用させて頂いております。


そして、この定義に基づけば、
ソーシャルスタートアップの法人格は必ずしも
NPOである必要もありません。

また、逆にNPOや課題解決型ビジネスだからといって、
すべての組織や集団が当てはまるというわけでもないのです。

ポイントは、
・革新(イノベーション)があるか、
・短期間で大きく成長するか、です。

この2点は特に、メンバー選考や、
ブートキャンプ期間中のメンバーとの共通言語として、
大切にしています。

以上