2016年1月17日日曜日

『私達が普段、 如何に社会的、身体的な力に依存して コミュニケーションをしているかが顕になった日』 SUSANOOメンバー現場訪問①&Hさんからの学び

2016年1月初旬
ソーシャルスタートアップアクセラレーションプログラムSUSANOO(スサノヲ)
第3期メンバー『&H』さんの現場訪問を行いました。

場所は京急線の終点ひと駅手前の三浦海岸。
http://beachriding.jp/

■事業概要

&Hさんチームは、JRAの調教師さんなど、
ずっと馬に関わる仕事をしてきた方々です。
彼らのチャレンジは「簡単に捨てられる馬の生命を救う」こと。

どういうことか?

実は日本では、競走馬として走れなくなった馬が、
即殺処分されるといった構造があるそうです。

馬の誕生から、育つ過程を家族のように共に過ごす人々は、
そのことにずっと心を痛めています。

しかし、馬一頭を養うことは、
経済的にも大きな負担を伴い簡単なことではありまえん。

そこで&Hさんは、問題の原因が
「馬が活躍できる選択肢が少なすぎること」だと考え、
老いた馬、体格の小さな馬など、どんな馬でも活躍できる
新たな馬の働き方を日本に広めよう試みているのです。

それがアメリカなどで始まっているEAL、ELPといった手法。
これは馬との触合いを通じ、人間の心に向き合う
ワークショップのようなものです。

普及すれば競走馬として活躍できなくなった馬や、
年老いた馬でも幅広く活躍することができる、ということで、
今回は、実際にそのセッションを体験してきました。
結論からいえば、想像を遥かに超えて質の高い内省ができ、
学びと気づきの連続となりました。

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■ポイント1
『コントロールできない大きな生命』

最初に体験させて頂いたセッションでは、
一人で、馬に近づき、彼らの気持ちを考えながら仲良くなる。
という、お題が出されました。

しかし、これが簡単ではありません。
ご存知の通り、馬は大きな生き物です。
私のように慣れていない人間は、馬に近づくのすら怖い。

「近づいたら蹴られるんじゃないか?」
といった、恐怖心をもちつつ、馬に近づいていく。

実際は馬は何を考えているかはわかりません。
馬に恐怖を感じるのも、馬が拒否しているように感じるのも、
すべて自分自身が「勝手に」考えていることなのです。

このセッションを何度か体験していると。
普段自分自身が他者と向き合うときに無意識に考えている
「思考の癖」のようなものがはっきりと見えてきます。

ちなみに私は、人と距離を近づけようとするときには、
相手の好きなもの興味のあるものを
認め、同調する、といった傾向がある。

それと同時に、
「相手に興味がなければ、自分も無理して近づかない。」
といった、やや投げやりな他者との接し方をしている
ことに気づかされました。

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■ポイント2
『普段の関係性が崩壊する。』

続いては、人間側が6人でチームを組んで、
協力しながら、馬に目的の場所まで動いてもらうワークを体験。

このセッションでは、言葉を使ってはいけないとか、
互いにこのリボンを話してはいけない、
といった制限が加わります。

その制限の中で馬やチームとコミュニケーションをする。
すると「私達が普段以下に社会的立場や関係性に依存して、
他者とコミュニケーションをしているか」が、良くわかります。

特に私はプロジェクトリーダーを務める立場なので、
そのことを痛感させられました。

通常、組織のなかに入れば役職や肩書が、
自然とリーダーを決め、意思決定のフローを決めます。
私たちはそれを活用して、他者とコミュニケーションをとります。

しかし、馬を思い通りに動かす
というミッションを前に、普段の関係性は崩壊し、
素の自分で他者とコミュニケーションすることになります。

すると、自分が以下に他者の気持ちを理解できていないか、
また、他者を動かす方法を知らないかが、良くわかりました。



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■ポイント3
『全部自分に返ってくる。』

私はこのセッションを
自信過剰な組織のリーダーに特にオススメします。笑

人間対人間のカウンセリングとなると、受けてる側として、
特に自分に受け入れがたいことを指摘されると
どうしても「この人の言っていることは間違っている」といった、
反応をすることもできますよね。

しかし、この場で起こることは全て馬の行動として起こるのみ。
その行動にどんな意味を感じるかは、全て自分次第なのです。

実際に起こったこととして、
この日、僕たちは馬に決められたポールの内側を
歩いてもらおうと、力づくやら餌をちらつかせたり、
何度も試しましたが、全くうまくいきませんでした。

そのセッションが終わり、互いに感想をシェアしていると、
突然それまで動かなかった馬が一人で
ポールの内側を通り過ぎたのです。

「え!」

とみんなで驚いたのですが、この馬の行動に

「いじわるされた!」
「やっぱり無理やりだと、いやだったんだね!」
「ようやくわかってくれたんだね!」

など、どういった意味付けするのも自分自身。
だから、どんなに社会的立場がある人でも、
真摯に自分自身に向き合うことができると思うのです。


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このように
これまでの社会構造では価値がないとされていた
「馬」の存在が、実は組織のリーダーにとって
とても重要な学びの機会になり、
馬たちの生命も救われる、という好循環を
生み出していくかもしれないのです。


このように捉え方と手法を変えるだけで
「馬だからこそ」の価値を生み出す唯一の存在になっていく。
これこど、ソーシャルスタートアップならではのアプローチだと思います。


&Hチームの皆さま
丁寧にご対応を頂きありがとうございました!

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