2015年12月23日水曜日

システムか?森か?それが問題だ。SUSANOOについて2015年末の雑感

少し唐突ですが、
人間がシステムの一機能として扱われることは、しばしば起こります。

主語を社会や国家といった概念にして、話し始めた途端、
私たちはそのシステムのなかで自らが期待される役割に応えるべき存在になっていく。
そんな風に感じています。

私たちはそのとらえどころのない対象に対して、
影響力をもつために、自らをシステムに内在化させなければなりません。

そうして、最初は自らの意志で、システムに影響していたつもりが、
いつのまにか、システムの要請に自らが、応えるべき存在として、
パーツのひとつとして関係することになってしまいます。

また、
システムそのものは意志をもたない。
かといって、合理的な判断を下すとも限らない。

だから、自分がどのシステム(組織や集団)に関係するか?
についての選択はそれなりに重要だったりするのです。


さて、ここからが本題ですが、
面白いことに、起業家という存在は自らがシステムを構築し、
やがてシステムのいち機能として役割を果たします。

そしてその道を進んでいくと、誰からも感謝されなくなったりする。
偽りなく「顧客のため、社会のため」に努力をしているのに、
顧客からも、組織の成員からも、「感謝」されない。

それでも彼らはその道を突き進む。

ビジネスでの話なら、まだ成功すれば、カネという分かりやすい報酬が手に入る。
しかし、社会起業という領域、課題解決を優先する起業家たちは
必ずしもそういった分かりやすい対価が得られるとは限りません。


そして、人間は必ずしも強い生き物ではないので、
気を抜くと、大衆に迎合したくなったり、社会的認知度が気になったりする。

これは起業家に限った話ではない。
システムのなかで責任ある立場を担う方々は、
多かれ少なかれ、みなそういうジレンマを抱えることになっていると思う。

「社会的な価値」を重視し、システム化すればするほど、
自らも「一機能」になっていき、「感謝」も「尊敬」も受け難い。

働き方(社会への関わり方)が多様化しているいま
収入面での報酬もないとあすれば、ますます現場や、
組織の成員、ステークホルダーに迎合したくもなると思う。

仮にそうなった場合、それは「志」と「役割」の間で、
決定的な自己矛盾に陥ることになる。

「やりたいこと」にもつながらないのに、
「やらなければいけないこと」だけが増えていってしまう感じだ。



ソーシャルスタートアップが、
インパクトを生み出すシステムを創るうえで、この壁を突破するためには、
1つはシステム内での責任ある立場を担う人々に対する、
リワード設定を格段に高くするということがあります。

しかし、ここには「価値の可視化」の難しさという壁が立ちはだかります。

面白いことに「価値の可視化」が難しい挑戦ほどステークホルダーから
「価値の可視化」を求められます。可視化しようとすればするほど、
ソーシャルスタートアップの組織の成員は、よりシステムのいち機能として、
自らを位置づける必要が出てきます。

そうすると、上述した自己矛盾に陥りやすくなるのです。


そこで、現状、もう1つ考えられるのが「システムを作らない」というアプローチです。
これはアメーバ型の組織論、あるいは運動や思想の展開にも近いのですが、
ひとまず、「目的をもった有機的な共同体を創る」と言い換えておきます。

それは、「生態系創り」といわれるアプローチでもあります。
ざっくりと、システムが工場建築ならば、生態系は森創りです。


この生態系づくり、つまり森を育むには、とても勇気が必要です。
有機的な繋がり、生態系は「目的」をもつにも関わらず、
その「成果」を安定供給することを約束はしません。

それは「予測」を放棄することでもあすり、「スピード」を放棄することでもあります。

同時にその森創りを行うひとにとって、現行の社会システム(特に資本主義)における
未来の「報酬」を約束することもないということです。


一方で、この森創りだからこそ、人は一機能になることはないともいえます。
森人はいつまでも「自らの意志」と「影響力」を持ち続けることができます。

ただし、森が大きく広がっていくと、個々が全体に与える影響は
相対的に小さくなっていきます。それは、その森を作った人であってもです。

このアプローチだからこそ、
システムの一機能として埋没することなく、目的に向かって歩くことができる。
つまり、「やりたいこと」と「やるべきこと」を直結させて歩むことができるのでは
ないかと考えています。

ただ、この道は大変勇気と覚悟のいる道でもあると思います。
これは森が大きく広がるまでは、自らは何も得るものはないし、
ただただ不安定なだけだからです。

それに、仮に自らが生み出した「ゆらぎ」であったとしても、
それが広まっていくには、全ての他者の選択と行動が反映されるため
「誰が」生み出したか?は全体にとって問題ではないし、名前もつきません。

これは、森の動植物にとって、「所有」という概念は存在しないことを
考えてみればわかると思います。

もう少し、別な角度から言い換えると、
森の動植物にとって「全体最適」は生きる目的ではありません。
そこでは、いま、目の前の人とどう関係するか?、だけが重要で、
いかなる役割を担う人であれ、それに集中していいのです。

つまり、生態系創りというアプローチは自らも含めた「その人らしさ」を全肯定しつつ、
結果として、「全体最適」に繋がる仕組み創りでもあるのです。

また、その森にとっては、「多様であること」自体が全体としての
「靭やかさ」つまり、生存確率を高めることにも繋がるのです。

この森において、私たちは誰もが特別な存在でなくなるのですが、
しかし、同時に誰もがなくてはならない存在にもなると考えています。

そういった森のような仕組みが創りだせれば、
ソーシャルスタートアップ起業家、またはその成員にとって
「やりたいこと」と「やるべきこと」が直結した状態を生み出せると考えています。


(一旦、抽象論ですみません。)

世界を旅して体験してきたことをふまえると、
こういった画一的なシステム偏重から→有機的なつながりへの変化に
価値を見出す、パラダイムシフトは既におこっています。

しかし、あくまでも辺境で盛んになっているもので、
まだまだ、こと日本においてはメインストリームとはいえません。

なので、こういった生態系創りのアプローチについては、
人によっては、全く理解されないこともあります。
それはある場所からみれば、無価値であり、敗北にすら見えることもあるようです。



そして、SUSANOOを進めてきた二年間を経て、
まさにいまこの岐路にたっているな~と思っています。

社会システムとして位置付ける道を選ぶのか、
はたまた予測不可能だけど、感謝と尊敬にあふれた有機的でカオスな森を耕すのか。

もちろん、どちらの道も険しい。

とくに森をつくる、生態系をつくるというのは
神の領域であり、人間がそれに挑むならば、論理と感性を兼ね備えた、
芸術的なアプローチしかないですし、それは能力以上に、圧倒的な人間力を要求します。

さらに、私達自身が社会システムのど真ん中にいて、
そのシステムに依存しているからこそ、たった二年間で
ここまでこれたともいえます。

なので、私個人としては、SUSANOOプロジェクトと通じて、
社会システムの恩恵を存分にうけながら、なお、そのど真ん中に
異質で、有機的でカオスな「何か」を創造することに挑戦をしてみたいと思っています。


これは、中途半端に終われば、何も残らない道です。
やるからには、その森が豊か広がって自律的に成長拡大する状態まで、
多様で「靭やかさ」をもったものにしたい。そんな風に思うのです。



幸いなことに、私の周りには、いまSUSANOOをはじめ、
ETIC.を通じて出逢う人々の中に、そういう困難な道を歩もうとしている、
挑戦者が数多くいます。

なので、まずは、そういう荒ぶった挑戦者の皆さんに対して、
自らが人一倍「感謝」と「尊敬」を示していきたいと考えています。

2015年7月26日日曜日

ソーシャルスタートアップならではのピッチの型は存在するのか?


ソーシャルスタートアップアクセラレータープログラム
”SUSANOO(スサノヲ)”第5期を終え、これまで83組の
プレシード期(初期仮説検証期)を支えてきました。

デモデイ開催に向けて、SUSANOOでは毎週のブートキャンプを中心に、
参加14チームが夜な夜なピッチトレーニングを繰り返しました。
そこで、今回は参加各チームのピッチを磨く過程で見えてきた
ソーシャルスタートアップならではの『効果的なピッチの型』
についてまとめてみます。

今後ソーシャルスタートアップとしてチャレンジする人が、
プレゼンテーションを構成していく上で悩むことがあれば、
参考にして頂ければと思います。


●●●
本題に入る前に、まずは幾つか前提を整理したいと思います。
-------------------------------------------------------------------------------
■ソーシャルスタートアップの定義とピッチの目的
-------------------------------------------------------------------------------
SUSANOOプロジェクトでは、ソーシャルスタートアップの定義を
『高速仮説検証によりイノベーションを生み出し、
人々の生活と世の中を変える取り組みや組織。
特に「市場の失敗」分野に果敢に取り組む人々』 としています。

そんなソーシャルスタートアップのピッチは
「聞き手を味方として巻き込むこと」が最大の目的となります。
そこで、重要になるのは各団体の

①課題解決に向けた情熱、VISIONに共感できるか?
②サービスや製品のキレが伝わるか?
③社会を巻込む戦略を面白がってもらえるか?
④創業チームへの信頼を獲得できるか? の4点です。

-------------------------------------------------------------------------------
■ソーシャルスタートアップによるピッチの難点
-------------------------------------------------------------------------------
当初は、ビジネス領域のスタートアップのプレゼンテーションの型を踏襲していました。
しかし、ソーシャルスタートアップが、その型を用いて事業を語ると、
なぜか、次第につまらない内容になっていったのです。

原因として考えられることの1つは、
ソーシャルスタートアップが取組む課題そのものの新しさです。

というのも、そもそも大多数が課題の存在にすら気づいていない領域に挑戦するのが、
ソーシャルスタートアップの存在意義でもあるのですが、
故に、彼らが取り組む課題自体が伝わりづらく、
結果として、ソリューションや事業そのものの存在意義が理解されにくい
といったことが、しばしば起こるのです。

とはいえ、逆に「想い」だけを伝えようとし過ぎると、
今度はあまりにも抽象的なものが出来上がってしまい、
サービスや製品、戦略のどこが新しいのか?が伝わらないし、

「結局何がしたいんだっけ?」

という悲しいリアクションが生まれる事になります。笑

これまで2期のアクセラレータープログラム運営を通じて、
様々なチームが上記のような壁にぶつかっており、
私達も、何か新しい型を見出そうと試行錯誤してきました。


●●●
その結果、現状たどり着いた
ソーシャルスタートアップならではのピッチの型が以下になります。
-------------------------------------------------------------------------------
■ポイント① 
『ソーシャルスタートアップのピッチは時系列で語ると良い』
-------------------------------------------------------------------------------
結論から先に述べると、ソーシャルスタートアップの場合、
聞き手から「課題の存在」と「ソリューションのキレ」を
短時間で伝え、かつ「想いへの共感」をしてもらうには

 過去 ▶ 現在 ▶ 未来

という時系列に沿ったシンプルな構成が有効なのではないか?
という仮説に至っています。その構成要素を分解すると以下のようになります。

<過去>
 ①原体験
   =創業者がその課題の存在に気づくきっかけとなる個人的経験。
 ②紆余曲折
   =原体験を起点に、自らの思考に大きな影響を与えた経験。
 ③その結果獲得した独自の視点
   =その結果獲得した、事業のコアとなる独自の世界観(あるいは事業アイデア)
 ④課題の定義
   =本来あるべき理想の状態と現状のギャップを示す。
 ⑤社会性の提示
   =この課題は聞き手を含む、社会全体にとってどんな問題なのか?
 ⑥プロトタイピングの経験
   =これまで試してきた製品やサービスのプロトタイプと失敗の数々について
 ⑦その結果、見えてきた革新的なソリューションの仮説
   =その結果、現在見出しつつある革新的なソリューションの仮説。

<現在>
 ⑧提供しているサービスや製品のプロトタイプの価値
 ⑨顧客(課題当事者)の声

<未来>
 ⑩事業が秘めている社会的インパクトの可能性
 ⑪実現のための戦略の仮説
 ⑫協働提案

という構成です。

-------------------------------------------------------------------------------
■ポイント② 『起業家自身の物語を語る』
-------------------------------------------------------------------------------
ソーシャルスタートアップ起業家の多くは、
ごく個人的な経験から社会課題に出逢います。
その後、その課題解決への想いとソリューションのアイデアを
様々な経験を通じて『体験的に』見出していると考えています。

言い換えれば、ほとんどの場合
上記の①~③に当たる部分に、現在見出しつつある
革新的な課題の捉え方やソリューションの源泉があるのです。

しかし、厄介なのは、この①~③が本人にとってはあまりに当たり前すぎること。

それ故、大抵の場合、この最も重要な個人的経験をまるっと語らないまま、
表面的な社会課題の内容や現状説明で終わらせてしまいます。
結果として、聞き手には中途半端なモノにしか映らないのです。

そこで、過去の原体験から現在の事業に至るまでの
個人的な経験(ストーリー)を語ることを型とすることに思い至りました。


●●●
上記のポイントを踏まえるメリットは以下の2点です。
-------------------------------------------------------------------------------
■メリット① 『想いへの共感』を得やすい。
-------------------------------------------------------------------------------
SUSANOOで応援しているソーシャルスタートアップ起業家の皆さんのVISIONは、
大抵の場合、常識のアンチテーゼとも言えるエキサイティングな提案です。

ぱっと見は、過激だったり、突拍子もないように見える
彼らのビジョンはこれまでの価値観や常識をものさしにしては、
なかなか理解ができません。

「マネタイズどうすんの?」とか

「それは法令にひっかかるよ?」とか

そういう常識が邪魔して、スっと頭と心に入ってこないのです。

ですが、上述したように、その起業家本人の原体験から、どういう紆余曲折があって、
いまの考え方に行き着いたのか?をストーリーとして聞くと、
何故そのような考えに至ったのか?が明確に理解できるようになります。

結果、この事業に起業家が注ぐ想いにも、共感し易くなると考えています。

-------------------------------------------------------------------------------
■メリット② 『既存のソリューション』との差がわかりやすい。
-------------------------------------------------------------------------------
自分自身もしくは身近な人が「課題の当事者」になった
原体験を有するソーシャルスタートアップ起業家は
同時に『既存のソリューション』を利用した経験を持っています。

そして、多くの場合彼らの新しい事業アイデアは
『既存のソリューション』を利用するなかで、
その決定的な問題点に気付くことから生まれるのです。


そこで、②紆余曲折から、⑤その結果、見えてきた革新的なソリューションの仮説
までを続けてストーリーとして語るなかで、『既存のソリューション』の
問題点は何なのか?が明確になります。

ちなみに、シード期のソーシャルスタートアップが、価値仮説も煮詰まっていない中で、
「自社のソリューション」を「既存のソリューション」と
単純に比較すると、サービスや製品内容が固まっていない分、
ただ中途半端なもの、つまらない物を作っているように見えてしまいます。

ですので、『既存のソリューション』ではこれが足りない、という点を
自らの経験を通じて語ることで、共感を呼び起こしつつ、説明します。

その上で、似ているけれども、中身は全く違うものとして、
自社のプロトタイプについて説明する。

この方法により、聞き手としても
その事業の「何が面白みなのか?」をより理解しやすくなります。


●●●
一方で、上記を踏まえて留意すべき点が2つあります。
-------------------------------------------------------------------------------
■留意点① 『顧客の声を示す』
-------------------------------------------------------------------------------
上記の個人的な経験を元に構成することで、
「事業にかける想い」「課題の存在」「ソリューションのキレ」
への共感と理解は得易くなると考えています。

その上で、ビジネス領域のスタートアップと同じく
「このサービスは誰にどんな価値を提供するものなのか?」
を端的に説明することは、もちろん必要です。

但し、その際留意して欲しいのが
⑦顧客の声を客観的な事実として示す、ということ。

というのも
ここまでの話が、個人的経験を元に主観のみで構成されているので、
それが単なる思い込みではないことを示す必要があるのです。

注意していただきたいのは、この部分、ただ単にマクロデータを引っ張ってきて
潜在市場の大きさを示すということでは足りないということ。

「本当にそんな困り事を持っている人が他にもいるの?」

ということが、聞き手が抱いている疑問なので、
課題当事者が何に困っているのか?を具体的に示す事例を示すことが先。
その上で、マクロなデータで補完する。

それにより、事業が生み出す社会的意義と
インパクトについての説得力が増すと思います。

-------------------------------------------------------------------------------
■留意点② 『余白を提示する』
-------------------------------------------------------------------------------
ソーシャルスタートアップが取り組む「市場の失敗」領域は
行政・大企業・NPO・メディアなど異なるセクターが連携することで、
初めて大きなインパクトが生み出せるという難しさを抱えています。

そして、先述した通り、ソーシャルスタートアップ起業家の
ピッチ目的は「聞き手を味方として巻き込むこと」になります。

ここまで過去と現在について語ることで、
聞き手に「事業の意義」と「想い」に共感してもらい
「一緒になにかやりたい!」と思ってもらえたとします。

そこで、最後に重要になるのが⑩の協働提案の際の、
聞き手が関わる「余白」の提示です。

この「余白」部分がなく、仮に自社だけで遂行できそうな
完璧な事業戦略を披露されたら、聞き手は次のアクションとして
「頑張ってね!」と声をかけることしか出来なくなってしまいます。

それでは、ピッチをする意味がないですよね。

ですので、例えば
「この部分を補完してくれるパートナーを探しています。」とか
「戦略自体をもっと練っていきたいので、一緒に考えませんか?」といった
余白があることで初めて、聞き手を一方向の支援者としてではなく
一緒に動く仲間として巻き込むことが可能になるのです。
-------------------------------------------------------------------------------

以上が、個人的に現在見出しつつある
ソーシャルスタートアップとしてのピッチの型となります。


もちろん、まだまだ進化の余地は多分にあると思いますので、
引き続き、SUSANOOプロジェクトを通じて、磨いて参ります。
応援よろしくお願いします。


★★SUSANOO第三期採択メンバー募集中(9月15日正午締切)★★
http://www.susanoo.etic.or.jp/

2015年7月20日月曜日

⑧ ソーシャルスタートアップにとってのゴールは何に定めるか?

社会的なインパクトの最大化を目指す
ソーシャルスタートアップにとってのゴールとは何に定めるか?については

まだはっきりとした定義があるわけではありません。

が、これまでSUSANOOを通じて、
いろんなタイプのソーシャルスタートアップに触れるなかで、
ゴールの仮説として個人的に抱いているものが1つあります。

それは、
「課題当事者の17%にソリューションが届く状態を達成すること」

イノベーター理論で言われる
2.5%のイノベーター獲得フェ-ズの後、
13.5%のアーリーアダプターの開拓を経て、
キャズムを超えた普及・一般化の流れを築くこと。

ここが、ソーシャルスタートアップのゴールとして
仮置きすると、良いのではないかと想いました。

理由1
ソーシャルスタートアップが
対象とする課題当事者を定義し、全体数(市場規模)を設定することで、
投資家や寄付者とコミュニケーションがしやすい。

理由2
インパクトそのものに焦点を当てる目標設定により、
複数の資金調達方法や、拡大・一般化に向けた戦略が検討しうる点。

 これについて説明を加えますと、
 インパクト最大化を目的とするソーシャルスタートアップが、
 「課題当事者の17%にソリューションが届く状態を達成すること」を
 目指す場合、取りうる戦略パターンは大きく5つあると考えています。

 ①単純に、自社サービスとしての拡大(IPOを目指すこともこの中に含まれる。)
 ②大企業への事業売却
 ③行政連携による制度化★
 ④競合他社の育成★
 ⑤事業化せずに、運動として展開★
 
 お気付きの通り、特に③~⑤が、
 ソーシャルスタートアップだからこそ、取りうる戦略です。

このように、ソーシャルスタートアップらしい戦略オプションを保ちつつ、
かつ、ビジネスセクターによっても関心を持ちやすい目標設定をすることで、
リソース共有を促進することが出来るのではないかと考えています。

以上








2015年6月28日日曜日

⑦ソーシャルスタートアップならではの難しさ3 リソースが獲得しづらい(リワードが設定しづらい)

ソーシャルスタートアップならではの難しさ3つ目は、


事業構築にむけたリソースが獲得しづらいことが
やはり、あげられると思います。

これはマーケットが成立していないともいえるわけで、
その意味でソーシャルスタートアップに対するマーケット
(リソースを効果的に提供し、拡大、再投資が行われる仕組み)
を構築すること自体、現時点で「市場の失敗」分野であると考えています。

その原因は複数ありますが、
現時点で、やはり一番大きいのは
投資家にとっての、リワード(報酬)が設定しづらいことがあげられます。

これは前項の
「インパクトが可視化しづらい」とも密接に関係します。

つまり、例えば1億円をあるソーシャルスタートアップに投資したとしても、
それに利子が付いて還ってくるわけでもありません。

だとしたら、せめて
それ以外の報酬が明確に設計されている必要があります。

それがなければ、
投資家(それが法人であれ、個人であれ)からしてみれば、
数多ある他の投資機会と比べた時に、
わざわざソーシャルスタートアップを選んで
リソースを投下する意味付けができないのです。


とはいえ、個人的には、これまでの富裕層営業の経験上
国内でも、多くの起業家や、企業経営者などの富裕層は

「社会的意義のある投資であれば、たとえ自らに対して
 短期的な金銭的リターンを生むものでなくても、投資をしたい」

と考えている方は、かなり多いと感じています。


あとは、ソーシャルスタートアップ側が、より確かなインパクトの可視化と、
リワード設定とその履行を行うことができれば、
ソーシャルな領域に対して投下される社会資本(これはお金に限らない)は、
増加すると考えています。


ここからは、かなり個人的な妄想ですが、
現在、日本の家計資産は1600兆円を越えると言われており、
そのうちの半分、800兆円を超える額が、預貯金として銀行に預けられているとされます。

------------
ちなみに、
ファンドレイジング協会さんによると、
(ちょっと時期ずれますが)2012年で日本の個人寄付の総額は約6900億円だそうです。

ビジネス領域のスタートアップに対しての資金提供も、
家計における株式投資、出資の割合は9.5%なので、ざっと160兆円くらい(2014)
ありながら、国内の公開前のスタートアップの資金調達額は計1154億円に留まり、
こちらも、VCさんがメインだと思うので、個人投資家の資金は限られると思います。

➔このあたり、詳しいデータお持ちの方がいればご教示下さい☆
------------

これだけのお金が家計部門にあっても、それが国内の新しい挑戦
にむけて積極的に投資されるという状態でないのは明らかです。


とはいえ、ここからは
SUSANOOらしく「課題」を「機会」に転換して考えてみます。笑


仮に、それぞれ日本の個人が
銀行預金の1%(100万円なら1万円、1億円なら100万円)といった形で、
積極的にソーシャルスタートアップを選択し、投資(寄付)をしていく仕組みができれば、
800兆円のうち1%、つまり8兆円規模のマーケットが構築されると考えています。

(もちろん、そんなに単純なことではないとは思いますが、)

今後、ソーシャルスタートアップという存在の位置づけが、
私達個々人の日々の生活の質を向上させたり、保つために重要な
行政、企業に並ぶ第三のプレイヤーとして、広く認められるようになれば、
こういった資金の流れは案外簡単に生まれていくのではないかと思っています。

少なくとも、税金のように、
有無をいわさず徴収されて、何にどれだけ使われて、結果どうなっているのか
よくわからないようなお金の使い方よりも、

投資対象の顔がみえて、何に、どれだけインパクトを目指して挑戦しているのか?が
見えれば、そちらの方がよほど、資金の投資先としては、魅力的になりませんかね?

これはつまり、
「自分たちが必要としている、あるいは大切だと思うことを
自らの手で選んで、育てていく」という、新たな公共との関わり方を
生み出していくことでも、あると思っています。

(うーん、わかりづらい、笑)


そうすることで、
公的なサービスを、より小さな自治体、地域社会といった単位で、個々人が
主体的に考えて、取捨選択し、投資することで、
より柔軟で、効果的な公的サービス、社基基盤の運営が
実現できるのではないかと考えています。


(↑この辺りはまだまだ伝わりづらいと思いつつ、
 とりあえず言葉にしてみました。あしからず。)



なお、個人的には
こういったソーシャルスタートアップのマーケット構築には、
クラウドファンディングの仕組みに、大きなヒントが隠されていると考えています。
これについては、また後日。


以上

2015年6月21日日曜日

⑥ソーシャルスタートアップならではの難しさ2 「インパクトが可視化しづらい」

前回に続き、ソーシャルスタートアップならではの難しさについて。
2つ目はインパクトが見えづらい、あるいは見せづらいという点です。


もともと、利益の最大化ではなく、
インパクトの最大化を優先するソーシャルスタートアップ。

彼らは、サービスや製品が提供される
顧客や、その周辺環境の変化にフォーカスを当てているため、
必ずしも自社製品の売上や、営業利益といった数値の変化だけで
自分たちの事業の成否を測ることができません。

もちろん、売上や利益も重要な指標に変わりは無いのですが、
それだけではステークホルダーからの
「それで社会がどう変わったの?」という問いに応えるのは難しいのです。

よく考えてみると、そもそも、ある製品やサービスが、
当事者あるいは、その周囲の環境にどのような変化が起こったか?
そして、それに対して自社の提供したサービスや製品はどれだけの効果を出したか?


を正確に計測するのは、かなり難しいことだと思います。

そういう意味で、ソーシャルスタートアップの
社会的インパクトを目指して行われる社会課題解決型の事業は、
新しい価値基準や、その指標を開発する取組でもあり
実は、とても新しい挑戦の領域だとも言えます。

もちろん、これは課題領域によっても事情は異なります。
教育分野などは、効果が現れるまでに時間がかかったりするけれど、
例えば明らかに衣食住が足りていない人々への、サービス提供は
その効果が比較的説明しやすいといった違いです。

が、いづれにせよ、少なくとも、
ソーシャルスタートアップの皆さんはつねに
「それによって、社会がどう変わるんですか?」
というステークホルダーからの問いにさらされ続けているのです。

これに対しての回答を見出すところから、
ソーシャルスタートアップの挑戦は始まっているのです。

以上


2015年6月15日月曜日

⑤ソーシャルスタートアップならではの難しさ1 「当事者としての視点」

前回、ソーシャルスタートアップの特徴と可能性に触れましたが
今回は一方で起こりうる、ソーシャルスタートアップならではの落とし穴というか
気を付けておきたい点についてもまとめてみます。


1、当事者の視点から抜けだすのが難しい。

「驚きました、みんな、やりたいことが明確で、課題をよく捉えている」
これは、以前SUSANOOのブートキャンプにお越しいただいたメンターからのコメントです。

社会課題解決型ビジネスに挑戦する方にも
いろんな背景の方がいると思います。

なかでも、自身の原体験が、解決しようとしている社会課題そのものと、
強く結びついている方。つまり、課題の当事者である方が、
いまなお、結構な割合をしめていると感じています。
(もちろん、そうじゃない人も大勢いますが、、)

対峙している課題の当事者であるからこそ、
課題の現場に立ち続ける覚悟をもっていらっしゃるし、
その課題の背景についても詳しいということはあります。

ですが、私個人はここに一つ
大きな落とし穴もあると思っています。

それは、当事者としての視点・感情や痛みがわかりすぎるがために、
ともすれば、課題の当事者=被害者として、描いてしまうことが多くなるということです。

仮に起こっている現象そのものを、
「問題」として扱うところからスタートしてしまうと、
どうしても、その事業が成長していくプロセスで
「社会正義」や「支援」、「義務」といった、価値観論争に巻き込まれてしまいます。

その結果、結局のところ、
事業としては、「課題意識」に共感してくれる
特定のステークホルダーからの支えに依存してしまう構造となり、
結果として、目指していたはずの、大きな展開に
つながりづらいということが起こリ易いと考えています。

もちろん、そのように考えるべきでない課題の現場もたくさんあります。
人間の身体や精神など、生命そのものの危機や、小さな子どもたちが
直面する問題などは、少なくともそれに当たると思います。

それを前提としたうえで、
SUSANOOではあえて、「課題」を「機会」として捉えるという
アプローチを重要視しています。


たとえば、

「人口が減少して空き家が増え続けている」

という社会現象に対しては、
治安の悪化や、コミュニティ崩壊などを引き起こす
「課題」としてフォーカスし、その解決方法を考えようとするアプローチができます。

一方で、
あえて「機会」として捉えることで、
むしろ増えていく空き家を有益なリソースとして捉えることができれば、
新たなビジネスモデルやコミュニティ形成の起爆剤にすることも可能です。


これは記事①で触れた

学校とそりが合わず、勉強もせず、ルールにも従わない生徒を
「課題」として捉え不良と呼ぶこともできるし、

一方で、新しい規範を創造していく
可能性を秘めた人財として捉えることもできる、ということと同じなのです。


重要なのは、
ソーシャルスタートアップが、あえて
「課題」を「機会」として捉えるアプローチをとることで、

「課題を解決する」という収束していく未来へのチャレンジではなく、
「新しい価値を生み出す」という拡大・創造していく未来へのチャレンジに
つまり、全く別の意味に反転されるということです。

そうすると、ビジネス領域からみても、
ソーシャルスタートアップが目指す「市場の失敗分野」における
課題解決型のビジネスモデルの確立が、そのまま
「新しい市場の創造」と映ることになります。

私は、これにより、
ビジネスセクターからソーシャル分野に流れるヒト・モノ・カネ・情報も
これまでのチャリティ的な文脈に限られず、むしろ
積極的な投資対象として位置づけられるのではないかと考えています。

そして、なにより、人情としても
「楽しいこと」のほうが、より長く、深く、
関わりたくなるものではないでしょうか。


このように本来どこまででも「苦しむこと」のできる課題の現場に
「楽しそうな」アプローチで挑むからこそ、
「私達も一緒にやりたい」という仲間が次々に「雪だるま式」に増えていく、
といったことが、起こり易くなると考えています。


以上




2015年5月24日日曜日

④ソーシャルスタートアップならではの特徴と可能性

ソーシャルスタートアップの特徴は、
なによりも、彼らが、利益の最大化よりも、インパクトの最大化を
優先していることから生まれます。

ある社会課題が解決されるということに情熱的にフォーカスするからこそ、
徹底的に課題の当事者(顧客)の立場にたって
ソリューションを開発することができます。

加えて、営利目的であれば、利益相反がおこってしまう
他のプレイヤーとの関係も、ソーシャルスタートアップにとっては
互いの役割を分担することで、如何にインパクトを最大化するか?
を調整することで、ライバルとしてではなく、
ビジョン実現の仲間として巻き込むことができるのです。


私自身は、
このようなソーシャルスタートアップの特徴により、
従来であれば、パートナーシップを組むことが
考えられなかった同業種のライバル企業や、セクターを超えたプレイヤー感の
連携を生み出す可能性があると考えています。

ちなみに
ここでいうセクターを超えたプレイヤーの連携により
社会的インパクトが乗数的に拡大していくような状態を
コレクティブインパクトと呼んでいます。

詳しくは➔http://yokohama.etic.or.jp/archives/1968
『新しい課題解決手法「collective impact」の可能性と中間支援組織に期待される役割』
@ETIC.横浜

を御覧ください。

私たちのこれまでの資本主義的、左脳的な世界観からみれば
「いやいや、そんなこと簡単にいくわけないじゃない」
という感も否めないことはわかります。

私自身もかつてはそうでした。

しかし、一方で私達は
誰かの社会の一隅を照らす、利他的な行為が
ときに経済合理性や損得勘定を超えた、
社会資本の巻きこみにより実現していくことを体験してきていると思います。

なにより、そのような
「経済合理性」を顧みない、ときに無謀で、異端な人々の行為の中から、
世界を変えるような革新的な事業やサービスが生み出されていることを
私達は知っています。


つまり、一見ビジネスとして当たりそうもない、
ソーシャルスタートアップだからこそ、逆にいえば、
イノベーションの担い手となる可能性は高いのではないか、
と考えているのです。


以上







2015年5月1日金曜日

③そもそも、ソーシャルスタートアップって何?

『ソーシャルスタートアップ』

この言葉は、孫泰蔵さん、ETIC.宮城さん、加勢さん他との
度重なるブレストの中で徐々に紡ぎだされたものだった記憶しています。

まずお伝えしておきたいのは、
私達SUSANOOプロジェクトでは、特にこのスタートアップという言葉を
単に、立ち上げ期、創業期という意味では使っていないということです。

私達は、革新を生み出す挑戦をしている組織や集団こそが
『スタートアップ』だと考えています。

そのため、常に革新を生み出しているグーグルや、アップルのような
組織もスタートアップに加えて考えるのです。

逆に、ただ単に既存のビジネスを踏襲し、創業する組織や集団は
私達の使う『スタートアップ』という言葉には当てはまりません。

2013年の秋から冬にかけて、
このような議論を重ねていきながらも、
なかなかこれといった『ソーシャルスタートアップ』の定義には
たどり付いていませんでした。

しかし、2014年の3月3日
SUSANOOキックオフイベントにて、
孫さんが、この問題に1つの解を授けてくれました。

それが、
『ソーシャルスタートアップとは、今までにないイノベーションを通じて
人々の生活と世の中を変える取り組みや組織。
特に「市場の失敗」分野に果敢に取り組む人々。』

というものでした。
さらに、説明として、

『・・・こうしたスタートアップのうち、
 特に「市場の失敗」に取り組むものを ”ソーシャル・スタートアップ”と呼んでいます。
経済学でいう市場の失敗とは、例えばホームレスの支援や環境保護のように、
サービスの対価がもらえないために、ビジネスになりづらい分野のことを指します。
こうした領域はこれまで行政やNGOが担ってきたのですが、公平性が重要な行政では効率が悪かったり、伝統的な手法では解決できなかったりすることがあります。
そういった領域において、イノベーションを通じて人々の生活と世の中を変えていく起業家が“ソーシャル・スタートアップ”です。』
(ETIC.DRIVEより抜粋➔http://www.etic.or.jp/drive/labo/2495)

が加えられました。

これほど、『ソーシャルスタートアップ』の意味を
的確に表現した説明文は他にありませんので、
これを定義として活用させて頂いております。


そして、この定義に基づけば、
ソーシャルスタートアップの法人格は必ずしも
NPOである必要もありません。

また、逆にNPOや課題解決型ビジネスだからといって、
すべての組織や集団が当てはまるというわけでもないのです。

ポイントは、
・革新(イノベーション)があるか、
・短期間で大きく成長するか、です。

この2点は特に、メンバー選考や、
ブートキャンプ期間中のメンバーとの共通言語として、
大切にしています。

以上






2015年4月26日日曜日

②導入:私がSANOOに取り組む理由。

(前置きが長い感じがありますが、、、)

「WHYから始めよ。」byサイモン・シネック

にならって、

私個人が、なぜ、SUSANOOプロジェクトを行っているのか?
について簡単に紹介させて下さい。


私は世の中を周囲と違った見方をしていて、そこから生まれる
「これは、おかしい!」とか「もっとこうしたらいいのに!」とかを
押さえつけられず、行動する人たちが活躍する世界に生きたい
と思っています。

こう考えるようになったきっかけは
中学生の頃の体験にあります。

私は、温泉で有名な地方都市、別府で育ちました。
通っていた中学校は何の変哲もない、
全国どこにでもありそうな学校で、
その中には、当然不良と呼ばれる友人も少しはいました。

といっても、
田舎の不良ですから、喧嘩をしたり、ガラスを割って回ったりはしません。
せいぜい、学ランのホックを外す。ベルトバックルをイカした(?)
ハーレーダビッドソンのものを使うといった、程度のことしかしていませんでした。

しかし、中学校には校則というものがあり、
それに違反している以上は、先生からは怒られます。

例えば、こんなことがありました。
「通学用のスニーカーは白でなければならない」という校則があったのですが、
それに対して、不良とよばれた友人たちは、コンバースのスニーカーのような
一本だけ青いラインが入った靴を履いて登校するのです。
それが校門で見つかり、先生たちと朝からやりあう。

そんな些細な事ですが、
それを続けているうちに、先生も、そして周囲の友人も、彼らに対して
「あいつは不良だから」というレッテルを無意識に貼り、遠ざけたりします。

そういった周囲の目は、本人も当然感じるし、
そうなるともう授業をマトモに聞くとか、そういう姿勢は
だんだんとなくなっていきますよね。結果として、成績も上がらない。

だんだん、成績的にはおちこぼれていって、その流れから脱出するすべもなく、
気が付くと卒業後に進む進路にも違いがうまれ、大学にも違いがうまれ、
結果として社会人として、社会のメインストリームで活躍することは
かなり稀になるように思います。

しかし、いま、当時を振りかえってみると、
成績はよくなかったかもしれないけれど、
不良と呼ばれた友人の中には、むしろ、頭の回転は早かった奴もたくさんいました。

なにより、強く思うのは、
彼らの方が正しかったなと言うことです。

私を含めほとんどの9割以上の生徒は、
「白い靴しかだめ」というルールを、何の疑いもなく、
ただいわれるがままに信じこんで受入れていたのです。

論理的に考えていたわけではなくても、
不良と呼ばれた友人たちは、「それっておかしくない?」を
直感的に理解していたし、さらにそれを堂々と行動にうつし、表現していたのです。

そして、
社会人になって思う気づいたのですが、
これからの社会が必要とする人材は、後者の
「常識に囚われず、本質を見抜き、行動する力」をもった人々です。

しかし、これまでは
彼らのような「大多数とは違う視点や価値観をもって、行動力のある若者」は
なかなか社会のメインストリームに出て活躍することができませんでした。

これって、すごく勿体無い!!

と私は思うのです。

そこで、そんな周囲とは異なるものの見方や価値観をもって挑戦する魅力的な人々が
異端者として社会の「ハグレモノ」になるのではなく、
むしろ社会を前進させた「英雄」として憧れられる。
そんな風土をSUSANOOを通じて創っていきたいと考えているのです。


つまるところ、これはアップル社さんの「Think Different」における価値観と同じです。

ということで、
個性豊かなSUSANOOメンバーが活躍し、憧れの存在となることで、
いま肩身の狭い思いをしている尖った中学生や高校生などが
自信をもって挑戦するような世界になれば、それはきっと楽しい!

そして、結局それが社会や国を靭やかにする道だ。
そう信じてこのプロジェクトに日夜取り組んでおります。


以上

2015年4月19日日曜日

①導入:私がSUSANOOに関わることになった背景

みなさん、こんにちは
渡邉賢太郎と申します。


知る人ぞ知る、面白NPO法人、ETIC.(エティック)@渋谷にて
ソーシャルスタートアップアクセラレータープログラム
SUSANOO(スサノヲ)というプロジェクトのリーダーを務めています。

このプロジェクトは、
孫泰蔵さんとNPO法人ETIC.が協力してゼロから起ち上げたものです。

二年間の世界一周旅から帰国したあと、
ETIC.に社会人インターンとして籍をおきつつ、
その周囲のスタートアップへの転職活動(?)を行っていた私は
幸運なことに、このプロジェクトの発端となった会議に参加しておりました。


私は、もともと学生時代からETIC.に関わっていたことで、
ソーシャルな活動に強く関心をいだいてました。
加えて、社会人として証券会社での経験もあり、
「お金」や「マーケット」という仕組みにも強い関心を抱くようになりました。

そんななかで、ムハマドユヌス博士が著書のなかで提唱している
「ソーシャルストックマーケット」とよばれる
課題解決を目指す起業家への資金提供の仕組みに興味をもっており、
いつか、その仕組を創る仕事をしてみたいな、と思っておりました。

その様は背景をもちつつ、世界を旅するなかで、
これまでの「所有」し、「競争」することが前提になっていた
世界観が大きく変わりはじめていることに気付きました。

それは一言でいえば、「共感」を軸に、
「共有」し、「共創」することが当たり前になる時代。

利益をあげ、自らの私腹を肥やすためではなく、
誰かの夢や挑戦を応援し、自らもまた応援されることで
「誰も見たことのない価値」を生み出していく。 

しかも、次々に!

そんな生き方が世界中に生まれていることを
40カ国を旅しながらいたるところで体験したのです。

それらの経験と想いが、
『日本の社会起業家を応援、進化させる新たな仕組み創り』に
挑もうとする、孫さんとETIC.の想いにも重なり、
このプロジェクトの起ち上げより、責任者として関わることに決めたのでした。


ということではじまったのですが、
開始当初は、本当に何もなく、また「SUSANOO」という名称も
「ソーシャルスタートアップ」という言葉も、どこにもありませんでした。

とにかく、まずは、
国内外の社会起業家支援やアクセラレータープログラムについて、
WEBや書籍を通して、調べまくる日々。

さらに、たたき台としてプロジェクト素案をつくっては、
ボコボコに叩かれて(笑)、イチから出直すということを
何度も繰り返しておりました。
(いま、見てみると初期の企画内容はあまりにも薄くてゾッとします。。)


ということで、
準備期間は2013年の8月~3月までの実に8ヶ月間かかりましたが、
その間に

「ソーシャルスタートアップ」

「Re:ducation」

「Re:public」

「Dual:life」

など、様々な言葉を発明しつつ、発見しつつ

「SUSANOO」というプロジェクト名に出逢い
一気にイメージが固まっていきました。


そして、2013年3月3日に
代々木能舞台で、キックオフイベントを実施。
半屋外の極寒の舞台のうえに長時間ご登壇をいただいた、
孫さんをはじめ、登壇者の皆様には大量のホッカイロで
寒さをしのいで頂くほどでしたが、
来場された皆様は異様な熱気に包まれており、
未だ見ぬ「SUSANOO」への期待感が高まっていくのを肌で感じました。

と、ここまでが導入です。

次回以降は、
SUSANOOに新しく関わって下さる
スタッフやインターン生、メンバーやパートナーの皆様、
そして「新しい生き方」を探し求めている
「未来のSUSANOOたち」にむけて、

「SUSANOO」での経験や学びを軸に
「ソーシャルスタートアップ」という
新たな挑戦の在り方について、アレやこれやと
綴っていければと思っています。

ということで、
よろしくお願いします☆